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日本発医療機器を開発するにはどのようするべきか(3)・・・「医療機器分野の産学連携における「企業」の果たす役割はなにか」

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 日本発医療機器の開発を進めるにはどうすればよいのだろうか(1) http://www.facebook.com/note.php?note_id=179565832096116 と(2)http://www.facebook.com/note.php?note_id=181390858580280 で、日本発医療機器の開発を促進するには、「スピンアウト(ベンチャー企業)の創出が必要であると思う」と書きました。

 それでは、現在、大学を含む研究機関との間で共同研究などを行っている(ベンチャー企業でない)既存企業の役割はなんなんでしょうか?

 多くの大学、特に旧帝大をはじめとした有名大学の注目されている研究には必ずと言っていいほど、既存の日本企業が絡んでいます。この状態を、大学の産学連携担当者は、「すでに特定の企業が付いていますから・・・・」と表現します。しかし、この「企業が付いている」の意味は何なのでしょうか。

 国家的な取り組みである「先端医療開発特区(スーパー特区)」でも、先端医療研究拠点を中核とした研究機関や企業との複合体を選定し、先端的な医療の実用化及び研究開発の促進を図るとしています。すなわち、スーパー特区のプロジェクトにおいては、必ず企業が含まれています。

 おそらく、大学等の研究機関の産学連携担当者は、企業が付いているから安心、だから、企業に任せてしまおう、という意味で、「すでに企業が付いてますから」と述べているのだと思います。しかし、企業側も同じ考えなのでしょうか?結構ずれがあるようです。

 まず、その既存企業が当該医療機器の商業化を行ってくれる可能性はどのぐらいあるのでしょうか?私は、特に治療系医療機器の開発においては、その可能性は略0%なのではないかと思っています。なぜなら、前にも述べたように、医療機器開発の分野は、他の分野と比較して開発リスクが大きくかつ創薬分野と異なり大企業が大きなリスクを負ってくれないためより強くベンチャー企業(企業家)が必要とされ、ベンチャー企業を介して商業化されることが必須だと思われるからです。既存企業も、商業化までの責任を負っているとは考えていないようです。

 実際、大学と企業との間にはかなりの温度差というか、お互い誤解があると思われます。大企業にヒアリングすると、その企業のある一人の熱心な技術者が個人の興味で絡んでいるだけで、企業としては商品化予定はないとか、体内埋め込み材料の共同研究に絡んでいる大企業の場合にはリスクをかんがえ全面否定するところもあるようです。中小企業の場合は、商品化といっても国内でできればいい程度にしか考えておらず、「商業化」の意味を「商品にする」という程度でしか考えていないところがほとんどです。極端な例では、特定の技術に関して他の企業に渡るのが嫌だからという理由で、大学との開発にからみ共同出願人として特許を出すことだけして商業化は全くしないという例もあるようです。

 それでは、スーパー特区等で選定された研究機関と企業の複合体から、その革新的技術の商業化を担うベンチャー企業が生み出される余地はあるのでしょうか?それは、十分にあるはずです。

 ですから、各研究機関の産学連携担当者は、目的志向の厳密な意味で、「すでに企業が付いていますから・・・・」の意味を考え直し、研究者と既存企業との関係を健康・健全なものにするべきと考えます。それは、日本企業にとっても結果的に良いことにつながると思います。特に企業との間の安易な共同出願は避け、商業化を見据えたビジネスライクな交通整理をするべきと思います。

 東京大学のケネラー教授のレポートによれば、この安易な共同出願実務は、アメリカを除くと他の国でも珍しくはないようですが、日本の場合は、競願先の80%が大企業と、大企業の割合がきわめて高いのが特徴なようです。大企業(特に日本企業)からはアントレプレナーシップを生み出すのは困難ですよね。

 私が大学の担当者にお願いしたいのは、既存企業は、あくまでも研究を推進するためのパートナーなのであって、最終的な商業化についてはベンチャーの起業が起きるようにフレキシブルに対応するべきで、「すでに企業が付いていますから・・・・」という理由で将来の可能性をつぶさないようにしていただきたいということです。経済産業省等も、その辺の企業の役割について、きちんと定義するとかガイドラインを作るとかをして、大学側に誤解が生じないようにするべきではないかと考える次第です。

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